インタビュー&コラム
役員報酬額の決定方針に関する会社法の改正点
近年のコーポレートガバナンス改革の中で、報酬決定プロセスの明確化、インセンティブ重視の体系の採用、開示の充実等に取り組む会社が増加するなど、役員報酬に関する改革が進展しております。
その中で、2019年12月4日に成立した「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号。以下「改正法」)と、それに伴って2020年11月27日に公布された「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(令和2年11⽉27⽇法務省令第52号。)が、2021年3月1日から施行されております。
本稿では、当該施行内容について、事前に検討が必要と思われる役員報酬額の決定方針に関する会社法の改正点を取りまとめております。
なお、IPO準備会社については上場した際に適用となります。
「改正法」の概略①
改正法により、指名委員会等設置会社を除く上場会社等(※)においては、定款または株主総会の決議により取締役会の個人別の報酬等の内容が具体的に定められていない場合には、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針(以下「報酬等の決定方針」といいます)を取締役会で決定することが義務づけられることになりました(会社法361条7項)。
(※)監査役会設置会社(公開会社かつ大会社)であって、有価証券報告書の提出義務を負う会社、及び監査等委員会設置会社
今回の改正の背景には、株主総会で上限が決議されている役員報酬の総額の中で、具体的な個別の役員の報酬金額の決定プロセスに明瞭性が欠けているとの指摘が多くなるなどの事情があります。
義務づけの対象となる会社においては、改正法の施行日である2021年3月1日以後に、報酬等の決定方針を決定せずに取締役の個人別の報酬等の内容を決定した場合には、その決定は無効になると解されています。
上場会社等においては、報酬の決定方針の内容の概要を、定時株主総会の際に株主に送付する事業報告において株主に開示することが必要となっております。
記事提供元
株式会社AGSコンサルティング
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