インタビュー&コラム
INTERVIEW

信託型ストックオプションを取り巻く状況、懸念と今後の展開



1.信託型ストックオプションを取り巻く状況

※この章は2023年6月時点の情報をもとに記載しています。


スタートアップ企業やIPO準備企業などの成長段階にある企業において、導入が増えていた信託型ストックオプション。


信託型ストックオプションは、従来のストックオプションの課題であった、事前にストックオプションの付与対象者を決めなければならない、役職員を採用する都度ストックオプションを発行するとコスト高になる、という経営上の課題を解決でき、税制面においても権利行使時の給与所得課税はなく、売却時に約20%の譲渡所得課税のみというメリットが謳われ、発行会社および受益者である役職員双方にメリットが大きいインセンティブプランとして人気が高まっていました。


しかし国税庁は2023年5月、信託型ストックオプションは、従来から権利行使時に最大約55%の給与所得課税であるという見解を公式に発表しました。導入企業の間で一般的に理解されている課税関係とは異なる見解に波紋が広がっています。


2.そもそも信託型ストックオプションとは?

信託型ストックオプションとは、オーナーが信託(受託者)に金銭を払い込み、その金銭をもって信託(受託者)が発行会社から有償でストックオプションを購入し、信託期間満了(株式上場など、期間満了の条件をあらかじめ設定)時に業績や人事評価などに応じて役職員等に無償でストックオプションを渡すスキームのことです。



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