インタビュー&コラム
INTERVIEW

IPO対応クラウド会計システムfreeeが選ばれる理由とは?


経営データの民主化がスモールビジネスを強くする

会計や人事労務など幅広いバックオフィス業務をクラウドで一体的に管理できるシステムを提供し、利便性の高さでベンチャーを中心に厚い支持を得ているfreee株式会社。特にIPOに対応した「クラウドERP freee」は、2017年3月のリリースから1年半ですでにNEXTユニコーン企業の3社に1社に近い割合で導入されている。なぜfreeeが選ばれるのか。freeeは会社の未来をどう変えるのか。同社執行役員の尾形将行氏に聞いた。

尾形 将行 氏
freee株式会社執行役員・パートナー&ミッドユーザー事業本部長。総務省、内閣官房、外務省、アクセンチュアを経て、クラウドの活用により日本の中小企業の生産性を世界水準に向上させることを目指し同社に参画。スタンフォード大学ロースクール修士、香港科学技術大学MBA取得。

「注目IPO予備群」の3社に1社が導入 freeeが選ばれる理由とは?

まず、クラウドERP freeeの導入実績についておしえてください。

同システムを導入した未上場企業は、日経新聞のNEXTユニコーン企業108社中33社、また資金調達1億円以上の企業100社中34社となっています(2018年11月現在)。IPO準備期に導入されるケースが多いです。

既にfreeeを利用した企業のIPO実績も出ているようですが順調に推移すれば、将来的には上場企業の3社に1社が利用する計算になりますね。既存の主要な会計ソフトと競合する市場でfreeeが選ばれる理由はどういったところでしょうか。

まず、クラウドで内部統制に対応した数少ないプロダクトだという点です。場所を選ばず、税理士や会計士とリアルタイムでデータを共有できます。また、freeeはAPIを積極的に公開しているため、顧客が自社で開発したシステムや他のクラウドシステムと簡単に連携できる点も好評です。

他社との決定的な違いは、オンプレミスは展開せずクラウド1本で勝負していることです。一般的にクラウドシステムはユーザーや仕訳の数が増えると動作が重くなるという弱点がありますが、当社はどんなにデータのボリュームが大きくなってもスピードを維持できるよう開発に力を注いでいます。freee全体で開発に100名以上が関わっており、他社でクラウドだけにこの規模を充てる企業はないでしょう。実際、動作の速さや将来的な開発への期待が決め手でfreeeが選ばれるケースは多いです。

使いやすさという点ではいかがでしょうか。

入力の簡単さとドリルダウンのしやすさは高い評価をいただいています。ERPの発想でシステムを作っているため、業務を行うと自動的に仕訳が作られるので非常に楽ですし、逆にコスト上昇など様々な事象の原因を分析したい時も細部まで正確なデータを遡ることができます。freeeはスモールビジネスや個人事業主向けというイメージが強いかと思いますが、実は中堅クラスの企業にこそ価値を感じていただいています。

御社の特徴の一つは、企業の成長段階に応じたプロダクト展開です。創業時にfreeeを導入した企業が上場を本格的に目指すステージまで成長しても使い続けることができます。他社システムに乗り換える面倒さがない点は大きな強みではないでしょうか。

そうですね、IPO後もクラウド会計システムを引き続き使いたいというニーズにはしっかり対応できています。クラウドERP freeeを開発したきっかけも顧客の成長に伴うニーズの変化でした。当社は創業当初からベンチャー企業での利用が多かったのですが、近年は上場までのスピード感が加速しており、IPO準備に入る段階でfreeeを解約される事例が少しずつ出てきていました。そんな時にある顧客から「freeeを使って上場したい」という声があり、クラウドERP freeeの開発に至りました。

それに、当社は社内でもfreeeを使っており、創業時の3名から現在の464名(2018年7月1日現在)まで拡大する中で管理部門からの改善要望が随時上がってきました。これもプロダクト拡充につながるインプットになっています。

また、御社のプロダクトは横の展開も多彩ですね。

一気通貫が我々の目指すところですので、給与計算、年末調整、労務・入退社手続きなど、会計周り以外にも各種サービスを提供しています。会計だけ見ても業務に必要な一通りの機能が揃っていて債権債務管理や経費精算のモジュールを追加する必要はありませんし、すべてのデータが連動しているので業務や分析が格段に効率化します。

freeeの機能を最大限導入してバックオフィス業務を効率化した場合、自社でのサーバー管理やエンジニアの雇用といった運用コストや、フロントの業務データを会計システムに入力する人員の人件費と比較して、費用面でのメリットを感じていただけることが多いです。

スモールビジネスを、世界の主役に。
freeeがもたらす「攻めの管理部門」への転換

freeeのようにバックオフィスを効率化させるシステムが広がれば、今後は管理部門の人員はあまり必要とされなくなっていくのでしょうか。

従来の管理部門は、事務処理量が最大化する月末を基準に人員を多めに確保することが当たり前でしたが、freeeを使えばデータ入力要員は減ります。かといって管理部門に人がいらなくなるわけではありません。

多くの経営者は管理部門に経営分析をしてほしいと考えていますが、実際の仕事の大半は入力作業。このギャップを埋めなくてはなりません。経理で働く方だって、入力作業がやりたくて経理になったわけではないはずです。freeeで浮いた時間を、データ分析など本来やりたかった仕事に使っていただきたいと考えています。いわば「攻めの管理部門」への転換です。

スモールビジネスの経営者や管理部門の方々は、「バックオフィスの働き方を変えたい」という当社の方向性への共感が決め手となってfreeeを選んでいただけることが多いです。

御社の今後のビジョンについておしえてください。

当社のミッション「スモールビジネスを、世界の主役に。」は、バックオフィスを効率化したうえで事業の成長をより積極的に支援したいという思いを込めています。具体的には、財務会計でのコスト管理にとどまらず、原価も含めたサービス全体の利益の見える化を行うなどして、意思決定の精度向上に寄与したいと考えています。

複数の部門を抱える企業では、儲かっていると思っていた部門をブレイクダウンすると実は赤字だった、という話も少なくありません。大企業なら経理担当者の数が多くてしっかり分析できますが、スモールビジネスはどうしてもフロントへの投資を優先して分析は後回しになりがちです。freeeを通じて最低限の投資でも大企業と同水準を目指せるシステムを作っていきたいです。

社内でフロント、ミドル、バックという異なる属性の人間が議論する際、最終的な拠り所になるのが経営データです。しかしクラウド化以前の会計システムでは限られた人間しかデータにアクセスできなかったり、共有に手間がかかったりしていました。freeeで経営データが民主化されて社内にコミュニケーションが生まれれば、会社はもっと強くなれるはずです。実際に当社ではこれを実践していて、「それはROIに見合うの?」といった発言が自然と出ます。そんな企業がどんどん生まれてほしいですね。

freee株式会社
https://www.freee.co.jp/cloud-erp/
本社住所 〒141-0031 東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル 9F
設立 2012年7月
従業員数 465名(2018年7月1日現在)


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