インタビュー&コラム
INTERVIEW

株主に責任を果たせる成熟した組織になるために


内部統制と予算・利益管理でIPOを支援するERP「ZAC Enterprise」

株式会社オロの「ZAC Enterprise」は、プロジェクト単位の利益を可視化してホワイトカラーの生産性向上に寄与するクラウドERPだ。ZACをIPO準備に活用することで、内部統制構築や適切な予算・利益管理が実現し、上場への力強い後押しとなる。しかし「ERP=大手向け、高額」という先入観から導入に二の足を踏んでいる企業もあるのではないだろうか。ZACの魅力について、同社のビジネスソリューション事業本部マーケティンググループの藤澤康二氏に聞いた。

株式会社オロ
2017年3月に東証マザースに上場し、2018年3月に東証一部に市場変更。業務改善・経営効率化をサポートするビジネスソリューション事業と、マーケティングをサポートするコミュニケーションデザイン事業を軸に、企業を内側・外側の両面から強くする各種サービスを展開。ZAC Enterpriseは上場企業など500社以上で導入されている。

IPO達成には内部統制と予算・利益管理の両輪が重要
ZAC Enterpriseにできることは?

近年のIPOのトレンドや、IPO達成のポイントについておしえてください。

IPOのトレンドは、内部統制と予算・利益管理の間を行き来していると言えます。ここ10年ほどの流れを振り返ってみると、2011〜2012年頃は内部統制が重点的にチェックされましたが、2015〜2016年頃は上場ゴールとも言われるような事例が増え予算・利益管理が着目されるようになりました。そして最近は、監査法人のリソース不足の問題で、すでに管理体制が整っていて手のかからない企業でなければ契約してもらえなくなっており、また内部統制が重要な時期になっています。

つまり、IPOを達成するには内部統制と予算・利益管理という二つの要素を同時に満たす必要があり、これらはERPを導入することによって効率的に実現していくことができます。

内部統制の課題は、ERPの仕組みに合わせて業務フローを見直すことで概ね解決できるでしょう。一方、予算・利益管理については、ビジネスモデルによって注意すべき勘所が変わってくるため、自社の業務や業態に合ったシステム選定が重要です。特にITやシステム開発などプロジェクトをベースにした受託ビジネスにおいては、プロジェクト単位でリアルタイムに利益を管理できるか、経営計画策定に向けて過去・現在・未来の数字が細かい粒度で確認できるか、月次決算に向けてスムーズなアウトプットが可能か、といったIPOに対応した機能を備えたシステムを選ぶことが大切です。

御社が提供するERP「ZAC Enterprise」は、どんな特徴があるのでしょうか?

ZACは、IT 、広告、 Web 制作などプロジェクトや案件ベースでビジネスを進める業態に特化した業務管理システムです。プロジェクト単位で売上、仕入れ、外注費、労務費などを一気通貫で管理することによって、プロジェクトの損益を見える化できることが強みです。「さまざまなツールに分散している情報をまとめて管理して、プロジェクトの利益をリアルタイムで知りたい」というニーズを叶えることができます。お客様の目的や予算に合わせて機能を選択・追加することが可能で、機能に応じて、粗利、売上総利益、営業総利益などさまざまな粒度で利益を確認できます。

また、基幹システムなので、販売管理、購買管理、勤怠管理、経費管理など社内のあらゆる業務を一元化して、その上で電子申請・電子承認のワークフローを設けたり、統制をかけたりすることもできます。IPO に向けた内部統制の強化やIPO審査に耐えうる管理体制を構築できるクラウドERPです。

ZACがIPOを目指す会社に選ばれる理由をおしえてください。

まずは実績です。2018年末現在、ZACを導入いただいている上場企業は数十社あります。その中にはIPOを機にZACを導入し、実際にIPOを実現した企業様もいらっしゃいます。東証マザーズ上場を目指すお客様からは、「自社と同じような属性のベンチャーがZACを使って上場したから」という理由でお問い合わせをいただくこともあります。また、プロジェクトの利益管理が可能で、かつ内部統制報告制度(J-SOX)に対応したERPとなると、選択肢が限られてくることも理由の一つです。

ERPは大手向けで高額?ZACなら初期費用を抑えて導入可能

ERPというとコストが高いイメージが根強く、中小規模のベンチャーにとっては予算面の心配があるのではないでしょうか?

ZACの場合、ミニマムの機能(販売管理+工数管理、または販売管理+購買管理)からスタートしていただくことができるので、費用を抑えながら導入可能です。この場合の初期費用は約300~400万円というケースもあるので、最近は上場を見据える従業員70〜80名程度の企業からのニーズも伸びています。

一方で、費用負担を懸念して現状のままExcelでの管理を選ぶお客様もいらっしゃるのですが、Excel管理では改ざんのリスクがあり、統制を効かせることもできないため、IPO審査においてはマイナス要因になりかねません。また、社内の「Excel職人」の奮闘で成り立っているケースもあり、その方が退職してしまうと仕組みが崩壊します。属人的業務は遅かれ早かれ持続できなくなります。

IPOを実現するためには、企業規模の大小に関わらず、株主に対する責任を果たせる成熟した組織を作る必要があり、そのためにはシステムへの投資は費用対効果の高い一手ではないでしょうか。

導入のタイミングはいつが多いのですか?

早い場合はX-4期やX-3期のケースもありますし、X-2期に証券会社や監査法人から指摘を受けて導入するケースもあります。導入に要する期間は、ミニマムの機能で最短3ヵ月、標準的な機能なら6ヵ月が目安です。さらに、本稼働後にシステムが定着し運用がスムーズに回るまでは概ね半年~1年程度は見込んだ方が良いかと思います。

ZACの導入から上場までの期間が短かったのは、2016年11月上場の株式会社JMC様のケースです。システム導入は2015年に入ってからでしたが、内部統制プロセスとシステム導入を並行して進めることで、約2年弱でのIPOを実現されました。

IPOは会社をレベルアップさせるための通過点
達成には経営者のビジョンや志が問われる

御社の今後のビジョンについておしえてください。

一つは、ZACが当初からミッションに掲げている「ホワイトカラーの生産性向上」のさらなる追求です。ERPの導入によって、ホワイトカラーの生産活動の成果物(=利益)や原価が明らかになって生産性が可視化でき、さらに数字・データを基に生産性向上のための計画も立てていくことができます。今後も生産性に課題を抱える企業に貢献したいと考えています。

もう一つは、ERP導入に伴う現場の負担をいかに軽減するか、ということです。ERPを導入すると、現場では毎日案件や工数を入力しなければならなかったり、上長の承認が必要になったりと、業務のプロセスが増えて負担感が上がります。これが導入の阻害要因になることもありますし、生産性向上のために導入したはずが本末転倒になるリスクも含んでいます。そこで、UIやUXが優れたシステムを構築し、人の手をかけるべきでない単純作業を減らし、ホワイトカラー全体の生産性を向上させることがZACの目指す姿です。最終的には入力作業を極限まで減らし、タイムリーに経営をサポートする仕組みになることがゴールです。

最後に、これからIPOを目指す経営者や管理部門の方にメッセージをお願いします。

当社の代表を含め、IPOを経験した多くの経営者が、「IPOはゴールではなく通過点、IPO準備を通じて会社がレベルアップできる」と話しています。

IPOでは、株主などさまざまなステークホルダーに対する責任をきちんと果たせるような内部統制や予算・利益管理体制を築くこと、いわば「当たり前のことを当たり前にできる」企業になることが求められます。IPO準備を通じて、受注前にきちんと予算を立て、受注後はリアルタイムに利益を確認しながら業務を進めるといった、企業として当たり前のことができるようになれば、結果として、無駄が少なく生産性の高い組織にレベルアップできます。

当社のIPOを振り返ってみても、会社の信用力や採用力の大幅な向上、市場からの資金調達などさまざまなメリットがありました。IPOは経営者のプロジェクトと云われます。このプロセスを通じて経営者がどんなビジョンや志を持っているかが問われているのだと思います。

株式会社オロ
https://www.oro.com/ja/
住所 東京都目黒区目黒3-9-1 目黒須田ビル
設立 1999年1月20日
従業員数 単体208人/連結401人 (2018年12月31日現在)


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