インタビュー&コラム
INTERVIEW

「スペシャリストを目的地に、雑多な経験を積むことが大事」 CFOインタビュー


「クルーズ旅行を通じて、すべてのお客様に初めての感動体験を」を理念に置き、創業以来15期に渡ってクルーズ旅行を専門に扱っている、株式会社ベストワンドットコム。2018年4月に東証マザーズに上場も果たした同社取締役 経営管理本部長 兼 経営企画部長の小川隆生氏にお話を伺いました。

最初から目標は「起業」、1社目のリクルートから実際に起業するまで

― 新卒でリクルートに入社されていますが、なぜリクルートを選んだのですか?

元々起業をしたいと思っていたんです。でも、いきなりやるより経験を積んだり人との繋がりを作ったりしてから起業したいなと思って、まずは就職しようと思いました。

リクルートを選んだのは、営業や企画のスキルが身に付くだろうというのはもちろん、退職してもつながりが切れなさそうだなと思ったからですね。実際、辞めてから何年も経った今でも、当時のリクルートで関わりのあった人との交流は続いています。

実は、リクルート退職時に起業する計画があったのですが、これが直前でダメになってしまって。なので、もう1度他の企業へ転職することにしました。

― リクルートの次は、ベンチャー・リンクへ行かれていますね。ここでは外食事業の担当だったそうですが、なぜ外食を選んだのですか?

自分で料理屋をやりたいなという気持ちが少しあったんですよね。 それで、ベンチャー・リンクはFCの加盟開発とかもやっていて、各地の銀行と提携して営業セミナーを結構やっていたので、話を聞くために行ってみたのが最初です。

自分としては、営業セミナーを聞きに行くつもりじゃなくて、料理屋をやるにあたって必要なことが聞けるかな?という程度の気持ちだったのですが。でも実際セミナーに行ってみたら、ベンチャー・リンクそのものに興味が湧いて、起業する予定がなくなって当面のやることがなくなってしまったし、興味のある外食分野の経験が積めるのは良いなと思って、期間限定で入るつもりで人事担当者にメールを送って、入社が決まりました。

入社後、ベンチャー・リンクでは、スーパーバイジングを担当しました。

― 思っていた経験は積めましたか?

そうですね。楽しかったです。大変なことももちろん多かったですけどね。

飲食店の出店計画って結構大変で。立地選定から運営の仕方まで、1度オープンしたら場所を動かすことが出来ないから、事前に考えることが多いんですよ。それでも開いてみないと分からないこともあるので、確実性を高められるだけ高めたトライ&エラーを繰り返す感じでしたね。それはどの仕事も一緒かもしれませんけれど。

― その後は、満を持して起業されますよね。どういうお仕事をされていたんですか?

このとき、知り合いが農業関連のコンサルタントをしていまして、話を聞いていたら農業って色々な課題があるなと思ったんですよ。解決の糸口もありそうだったし、興味もあったので、1回軸足を置いてみるのも悪くないなと思いました。それで会社を作って、最初は関東近県の農家を足で回って野菜を提供してくれるところを探して、集まった農作物をWEBで販売し、自分たちで箱に詰めて発送するということをしていました。

自分の事業は4年やったんですけど、この間に千葉でレストランと地場野菜の八百屋を併設した施設をオープンしました。起業して1年半くらい経ったころですね。

― 念願の飲食店オープンですね。

そうですね。念願でした。とはいえ、今は都内でやれば良かったかなと思っています。ベンチャー・リンクで経験した、立地を動かせないことの難しさがここでもあったんです。

経営が回るのは回るんですけど、出た利益でひたすら運営していく感じでしたし、野菜は野菜で飲食店に卸したりECで売ったりして展開はしていくんですけど、それ以上のスケールのさせ方が当時は分からなかったんですよね。

ファイナンスの頭が全然なくて、借り入れもしていないし出資も受けていない。そうなると、大きくなりようがないですよね。このままだと、地方で1つ店やってるだけで終わるなと思ってしまって、1回閉めようとなりました。