IPO用語集
glossary

か~こ

会社法 各種説明資料 株主名簿管理人
仮条件 監査等委員会設置会社 監査法人
監査役 幹事証券会社 管理会計
期越え上場 キャッシュフロー計算書 金融商品取引法
グローバルオファリング 形式基準(形式要件) 決算
コーポレート・ガバナンス 公開会社 コンプライアンス

会社法

会社の設立、組織、運営及び管理について定める法律で、2005年6月29日に可決成立し、2006年5月1日から施行された。それ以前は会社法という法律は日本にはなく、「商法第二編 会社」、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(商法特例法)、「有限会社法」の3つの法律が現在の会社法の代わりとして存在していた。また、2015年5月に施行された改正法では、コーポレートガバナンスの強化や、親子会社に関する規律の見直しが主なポイントとなっている。

各種説明資料

東証マザーズ市場への申請書類の1つ。同市場の「新規上場申請のための有価証券報告書」は、「Ⅰの部」と「各種説明資料」を作成・提出する。それに対し、東京証券取引所の本則市場(第一部・第二部)の「新規上場申請のための有価証券報告書」は「Ⅰの部」及び「Ⅱの部」から構成される。「各種説明資料」は、「Ⅱの部」に比べると、記載項目が絞られている他、会社の上場準備に係る負担軽減に配慮された内容となっている。

株主名簿管理人

株式会社からの委託を受けて、株主名簿の管理(株主名簿の作成及び備置き、その他の株主名簿に関する事務)を代行してくれる信託銀行や証券代行業者のこと。従来の商法における名義書換代理人であり、証券代行機関、株式事務代行機関などと称されることもある。東京証券取引所が承認している株主名簿管理人(株式事務代行機関)は、信託銀行および東京証券代行㈱、日本証券代行㈱及び㈱アイ・アールジャパンに限定されている。株主名簿の管理に加えて、株主総会の準備・運営に関するコンサルティングを行い、またIPO準備中企業に対してはIPOに関する支援も行っている。

仮条件

IPOの株式の発行価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格の範囲のこと。投資家は、その価格の範囲を基に需要価格や株数を申告する。「仮条件」は、上場承認前に設定される「想定価格」を基に、機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果、類似企業との比較、マーケット環境、上場日までの期間における価格変動リスクなどを総合的に勘案し、主幹事会社とIPO予定企業が協議を行った上で決定される。仮条件は一般的に、上場承認を受けてからおよそ2週間後に公表される。

監査等委員会設置会社

「監査役設置会社」、「指名委員会等設置会社」ととともに、株式会社のガバナンスの形態のひとつ。2015年5月施行の会社法改正により導入された新制度で、取締役3名以上(過半数は社外取締役)でつくる監査等委員会が、取締役の業務執行を監査する。社外取締役の選任義務のない「監査役設置会社」の枠組みが長らく採用されてきたが、改正会社法の施行やコーポレートガバナンスの強化により、監査等委員会設置会社に移行する企業が増えている。

監査法人

5人以上の公認会計士により組織された監査証明業務を行う法人。会社法や金融商品取引法の規定により監査が義務付けられている企業の財務諸表の監査・証明などのほか、財務に関するコンサルティング業務や株式上場支援に携わることもある。「有限責任あずさ監査法人」、「新日本有限責任監査法人」、「有限責任監査法人トーマツ」、「PwCあらた有限責任監査法人」の4法人は、日本における4大監査法人と呼ばれる。

監査役

監査役設置会社において、取締役の職務の執行を監査する役割を持つ、株式会社の常設機関。業務監査と会計監査の二つの権限をもつ。株主総会によって選任され、公開会社の任期は原則4年。公開会社のうち、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社以外の委員会設置会社ではない大会社(資本金の額が5億円以上か、負債の合計金額が200億円以上の株式会社)は監査役会を設置し、3人以上の監査役を置いたうえ、そのうち半数以上が社外監査役である必要がある。また、常勤が1人以上必要。委員会設置会社では監査役を置いてはならない。最近では、社外取締役を確保しやすいという理由から、監査役設置会社から監査等委員会設置会社に移行する上場企業が増えている。

幹事証券会社

有価証券の募集や売り出しの際、引受・販売等を行う証券会社。そのうち主幹事証券会社となる証券会社が中心的な役割を果たす。 幹事証券会社は複数の証券会社などがシ団(シンジケート団)を組成し、共同で引き受けることが多い。IPO時、IPO企業に対し、多岐にわたってサポートを行う。

管理会計

企業が企業内部で管理を行うための会計のこと。企業の会計には「管理会計」と「財務会計」の2種類があり、「管理会計」は経営者や管理者に対して、経営上の意思決定や業績管理に役立つ情報を提供することを目的とする。一方、「財務会計」は外部報告のための会計で、その目的が異なる。「管理会計」で具体的に扱うものとして、「原価計算」、「損益分岐点分析」、「キャッシュフロー分析」などがある。IPO準備の際、管理会計を使った「予算統制」は上場審査において重要な項目となるため、早めに導入を検討し、自社にあった管理会計制度を構築していくする必要がある。

期越え上場

上場日が上場申請事業年度の翌事業年度となる上場のこと。一般的に上場日は、上場申請事業年度内にするものと考えられているが、審査日程の柔軟化や上場時期の分散化という要請から、実際の上場のタイムリミットは上場申請事業年度の決算数値が確定する定時株主総会の開催日の1日前までとなる。そのため、3月決算企業の上場日では、スケジュール上最短となる12月に次いで、3月が多く、また最近では6月の上場社数も増えている。また言い換えれば、3月決算企業は6月までに上場できなくなってしまうと、上場申請事業年度の定時株主総会終了後の再上場申請となるため、最短でも3か月は延期となってしまう。

キャッシュフロー計算書

「C/F」と表し、貸借対照表(BS)と損益計算書(P/L)と並ぶ基本財務諸表(財務三表と呼ばれる。)の一つとして位置づけられており、会計期間内の資金の動きを表したもの。上場企業では、貸借対照表(BS)と損益計算書(P/L)と併せて、公開が義務付けられている。収入と支出(キャッシュフローの状況)を営業活動・投資活動・財務活動ごとに区分して表示するもの。

金融商品取引法

2007年9月に旧来の「証券取引法」の題名を改正し施行された法律で、「金商法」と略されることが多い。投資家保護の徹底を目的とし遵守対象となる業態を拡大するとともに、投資家保護ルールについて定めたもの。従来、「有価証券」については、金融商品ごとに法律が定められていたが、投資性のある多様な金融商品をすき間なく対象としている。上場準備においては、税法ベースの会計から金商法ベースでの会計への移行が必要となる。

グローバルオファリング

一般的に株式や債券等の有価証券を複数の市場で同時に募集、売出しをすること。発行会社が日系企業の場合、グローバルオファリングは国内の市場だけではなく、海外の市場(米国市場、ユーロ市場など)においても同時期に募集、売り出しを実施することを指す。グローバルオファリングを活用してのIPOの場合、資金調達額の最大化、株主構成の最適化、資金調達手法の多様化などというメリットが享受できる一方、場合によってはIFRS(国際会計基準)や米国会計基準などへの対応が求められるため、それに対応できる人材の確保、また手間やコストが伴う。

形式基準(形式要件)

取引所の上場審査において必要な形式的な基準のこと。「形式要件」とも呼ばれる。上場審査をパスするためには、「形式基準」と「実質基準(実質審査基準)」がある。 取引所の各市場は、それぞれ独自の「形式基準」及び「実質基準」を定めており、「形式基準」には例えば、上場時株主数、流通株式数、時価総額、、事業継続年数、純資産の額などがある。

決算

企業(国、地方自治体)が、一定期間の収入・支出を整理し、その財産状況を算出し明らかにすること。決算書は財務諸表とも呼ばれ、「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」等で表され、それを表す様式として決算短信などがある。決算申告は、上場の有無に限らず決算日の2カ月以内にすることが義務付けらており、上場企業は、45日以内に決算申告及び開示をするよう取引所によって定められている。

コーポレート・ガバナンス

日本語では一般的に「企業統治」と訳され、企業の価値を高めたり、企業の掲げる理念を実現したりするために、公平な経営を継続して行うための仕組みを指す。目的は主に株主のためと言われており、東京証券取引所では、上場企業に「コーポレートガバナンスに関する報告書」の提出を義務付けている。コーポレートガバナンスの基本原則をまとめているものが「コーポレートガバナンス・コード」で、金融庁や取引所が中心となり定めている。法令や規則を守る意味の「コンプライアンス」と混同しないよう注意が必要。

公開会社

会社法上、全部または一部の株式について、譲渡制限がない株式を発行できると定款で定めている株式会社のこと。一方、すべての株式について、定款で譲渡制限している株式会社は「非公開会社」と呼ばれる。上場会社(取引所に株式を上場している株式会社)は、原則すべてが公開会社となる。

コンプライアンス

一般的に「法令遵守」と訳される。近年、法律や規則といった法令を守ることは、企業(特に上場企業)の存続にとって重要な要素の一つになっており、リスク管理などと同様に、上場を目指す企業にとっては強化が必要となる。IPO準備時、またはIPO後、社員はもちろんだが、特に経営者を中心とした役員陣には、高いコンプライアンス意識が求められる。