インタビュー&コラム
市場活性化を目指す東証と地銀のIPOでの連携
東京証券取引所と地方銀行が、新規株式公開(IPO)分野での連携が進んでいるが、この取り組みによって地方の隠れた有力企業の上場につながれば、市場活性化に一役買うことになりそうだ。
連携の中身は、東京証券取引所では、地方銀行から人材を受け入れIPO業務に従事させるほか、経営者向けにIPOセミナーを開催しているが、上場企業数の拡大を目指す取引所と、地元に顧客ネットワークを張り巡らせたい地銀とのタッグは、今後も強まりそうだ。
東証などを傘下に持つ日本取引所グループは、第二次中期経営計画(2016年度~18年度)で、毎年100社程度のIPOを目標に掲げているが、2013年以降に上場した企業のおよそ3割が地方企業で、2017年7月の北陸銀行と北海道銀行を皮切りに、現在では11行と地域企業の株式上場を支援するなどの基本協定を結んでいる。
今春から東証は、北陸銀行の牧野智起主任と西日本シティ銀行出身の中尾信主任の出向を受け入れ、地方の有力企業の上場拡大を目指して取り組んでいる。
なかでも、中尾信主任(西日本シティ銀行出身)は、長崎に本社を置く企業の上場がゼロになる危機感を抱えているため、地元のコンサルティング会社や長崎県と協力して、上場の魅力を長崎県の経営者にアピールすることで、上場を経営戦略の1つに入れてもらうことに力を入れている。
世界的に株式相場の不安定な動きが続いているものの、10月以降もデルタフライ(徳島市)やプリントネット(鹿児島市)といった地方企業が新規上場を果たすなど、明るい話題もある。
こうした東証と地銀の新規株式公開(IPO)分野での連携によって、上場する地方の企業が増えていくことは、市場活性化にも一役買うことになり、経済全体の底上げにもつながると期待が集まっている。
市場の活性化は、これからの企業戦略構築にも参考になるだけに、管理部門にとってはこうした動きに目が離せなくなりそうだ。
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