インタビュー&コラム
INTERVIEW

IPOを実現する事業計画管理とは -「台帳化」と「KPI」による事業計画進捗管理-


株式会社ビジネスブレイン太田昭和 マネージメントコンサルティング事業部長/理事 川手 健次郎氏

1.IPOを実現する「事業計画管理」とは

1-1. IPO企業では事業計画の進捗管理(「事業計画管理」)が重要

上場準備活動の中に「経営管理制度の準備」「利益管理制度の整備」等の活動がありますが、 IPOを目指す企業(以降、「IPO企業」)が準備すべき経営管理・利益管理とは具体的には何でしょうか。 上場してからの歴史の長い大企業や、上場を視野に入れていない地域の中小企業も経営管理・利益管理は行っていますが、 IPO企業のそれと違いがあるのでしょうか。実は大きく違う点があります。 それはIPO企業の多くが、ビジネスモデルを構築中だということです。

ビジネスモデルが一旦完成して、安定的に成長している企業であれば、経営活動の結果を財務数値で確認(予算管理)するだけでも、 それなりに経営状況を把握することができます。 しかし、ビジネスモデル構築中の企業では、予算管理だけでは十分でありません。 未来の売上、利益で勝負するIPO企業にとって、財務数値の予実績管理だけでは十分な議論ができないからです。

IPO企業にとっての経営管理のポイントは、ビジネスモデル構築計画の進捗管理になります。  たとえ売上・利益が予定どおりでなくても、ビジネスモデルの構築が着実に進捗しているのであれば、 それは自信をもって関係者に説明できることなのです。 もちろん、逆のパターン(売上・利益〇 ビジネスモデル構築×)であれば、戦略を変更すべきことを示唆しているかもしれません。

では、ビジネスモデル構築計画はどこに存在するのでしょうか。 それは「事業計画」に他なりません。「事業計画」は会社の方向性と今後の道筋を示すプランであり、 IPO企業においてはビジネスモデル構築計画が描かれているはずです。事業計画をつくりっぱなしにせず、進捗管理する必要があるのです。

1-2. 事業計画管理のポイントは事業計画の「台帳化」と「非財務KPI」

事業計画の範囲は広く、一般的に次の要素が含まれています。

・経営方針 ・経営環境 ・ビジネスモデル(全体戦略)

・個別戦略 ・施策 ・活動計画 ・利益計画

図表1 事業計画の構成要素

これらの内容を「丸ごと」進捗管理することをお勧めします。

利益計画だけを管理するのが「予算管理」であれば、それを包含した事業計画全体の管理は「事業計画管理」と呼ぶことができます。

目の前に事業計画書がある方は、それをどうやって「丸ごと」管理するのか、疑問を持たれるのも当然です。 実はどうしても、ひと手間、ふた手間をかけないと、事業計画の進捗管理はできないのです。 どんな「手間」かと言いますと「事業計画の台帳化」と「非財務KPIの設定」です



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